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西脇順三郎「太陽」

 

【これはネットで拾った話題で、責任は持てないが関心を惹かれたので写す。いずれ文献に当たって確認したい。】

 

カルモヂインの田舎は大理石の産地で

其処で私は夏をすごしたことがあつた。

ヒバリもゐないし 蛇も出ない。

ただ青いスモモの藪から太陽が出て

またスモモの藪へ沈む。

少年は小川でドルフィンを捉へて笑つた。

  西脇順三郎「太陽」『Ambarvalia』所収

 

「カルモヂイン」はカッラーラ Carrara 

「ヒバリ」「蛇」「スモモ」は テオクリトス『牧歌』による。

 

……この真っ昼間、……
トカゲも壁の割れ目にもぐり、
墓守ヒバリも見えない時刻なのに。(21-23)
……
実もたわわなスモモの枝が
地面に向かってしなだれる。(145-146)
  古澤ゆう子『テオクリトス/牧歌』西洋古典叢書