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Donald Keene

 2019/3/4/月の毎日新聞夕刊に、鳥越文蔵氏によるDonald Keene ドナルド・キーン追悼文が載った。学部生の時に「演劇」の授業を取り民俗藝能学会にも参加した(奥三河の花祭も見に行った)ことから鳥越氏にはお世話になった。British Museum にある Basse-Yutz バッス・ユッツの嘴壺で論文を書いていることを話したことから、鳥越氏から紹介されて、British Library 勤務の Kenneth Gardner 氏 (1924-1995)と連絡を取り、Basse-Yutz の写真のマイクロフィルムが入手できた。まだ一度しか現物を見たことのなかった対象作品の全体と細部の鮮明なカラー写真を論文に多数掲載できたのはそのお蔭だ。

 なぜ鳥越先生に British Library の知り合いがいるのか、訝りながらもその時は訊かなかったが、今回の追悼文で事情が分かった。1961年以来の Keene との関係の中で Cambridge, London に在外研究で滞在する機会があったのだ。私の論文は巡りめぐって Keene 氏のお蔭でできたことになる。

 ・・時はめぐり、ローマに移る前後にケルト美術展を監修することになり、BM には何度も訪れて出展作品の交渉をした。DublinEdinburgh でも優品が借りられた。或る程度進んだところで、上記論文で最もその文献のお世話になった Venceslas Kruta ヴァンセスラス・クルタ氏も監修に加わることになり、パリで何度か会った。Bibliothèque Nationale de France, Cabinet de Médailles; Musée d'Archéologie nationale, Saint-Germain-en-Laye, ... とりわけ東欧を一緒に訪れて Praha と Budapest の国立博物館で折衝した後、BudapestBratislavaPraha 間を彼の運転でレンタカーで移動した。ハンガリー平原を真っ直ぐ何時間も走りながらいろいろ話した。・・記憶が溢れ出る。

 展覧会図録『ケルト美術展』(朝日新聞社、1998)は絶版だが、近くwebsite の【Keltoi】頁にその増補改訂版を展開する。Musée Imaginaire Celtique. テクストは欧語+日本語。